創業以来長い間、New Belgium BrewingはIPAブームに乗っかるのを頑なに拒み続けていた。IPAというイングランド発祥のスタイルは、ベルギービールにルーツを持つブリュワリーとは合わないという理由からだ。しかし、数年間に渡って自己省察し商品ラインアップについて考え抜いた末、彼らは2010年のRanger IPA発売によって方向転換をした(注1)。それは大成功で、ブリュワリーの商品のうちFat Tireに次ぐ売り上げを誇るビールとなったのだ。そうなると、彼らがホップ投入量をどんどん増やしていくのは自然な流れだろう。Ranger IPA、Shift Pale Lagerに続く、ホップを前面に出した味わいのビールとして2013年3月に登場したのがこのRampant Imperial IPAである(注2)。
名前が示す通りrampant(英語で見境のない、激しいの意)なこのインペリアルIPAはMosaic、Calypso、Centennialホップを大量に、そしてうまく投入することで複雑なホップフレイバーが光る味わいとなっている。グラスに注がれたこのビールの見た目は濃いゴールデン色で、しっかりとした白いヘッドがゆっくりと消えていく。香りはモルト、ストーンフルーツ、マンゴー、甘みを伴ったシトラス、フローラル、ドライホッピングからくる青々しい草、スパイシーな松のアロマが感じ取れる。典型的なウエストコーストスタイルIPAに見られるような“グレープフルーツの皮”のようなシトラス感は不思議とあまり感じられない。ビールを口に運ぶと強い苦みがまず襲い掛かってくる。その苦みの後にはモルトの甘みとフルーティなフレイバーが現れ、奥の方にピーチが見え隠れする。アルコール度数の高さから来るアルコール感が心地よく舌を刺激し、ビターで非常にドライなフィニッシュへと続く。インペリアルIPAとしては重すぎずミディアムボディで、どんどん飲み進められてしまう危険な仕上がり。
New Belgiumはベルジャンスタイルだけではないことを感じさせるのには十分な、最高品質インペリアルIPAである。
注1)ちなみに、Ranger IPAの商品開発段階と同じタイミングでドライホッピング技術について試行錯誤していた、という記事がBrewers Association発行のThe New Brewer Vol.32 No.4 July / August 2015に掲載されている。背の高い発酵タンクの一番上まで脚立で登ってホップを投入したのに、ホップがタンク下部に沈んでビールに上手く香りが付かないと嘆いており、その問題を解決するために危険なくホップを投入し、そのホップを撹拌できるようなタンクを開発したそうである。
注2)Rampant Imperial IPAの登場と共に、2010年8月に発売されたBelgo IPAが引退となった
商品仕様
製品名: | ビール |
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JANコード: | 754527004224 |
メーカー: | New Belgium |